特集 眼科における最新医工学
I.診断機器への応用
OCTオフサルモスコープ(SLO-OCT)の臨床応用
飯田 知弘
1
1福島県立医科大学眼科学講座
pp.32-37
発行日 2005年10月30日
Published Date 2005/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100188
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はじめに
光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)の登場は,われわれ眼科医に大きなインパクトを与えた。OCTは光干渉を利用した網膜断層像撮影装置であり,主に黄斑部と視神経乳頭部の疾患を中心に臨床面での有用性が確認され,網膜硝子体疾患に対する眼底観察には不可欠な検査方法となってきた。
OCTでは眼底の断面を光学顕微鏡で組織切片をみるかのように観察できる。最近,さらに進歩した装置としてOCTと走査レーザー検眼鏡(scanning laser ophthalmoscope:SLO)を組み合わせたOCT-ophthalmoscope(SLO-OCT)が開発された。SLO-OCTは,従来のOCTで観察できる眼底の垂直方向の断層像(Bスキャン:X-Z面あるいはY-Z面)だけでなく,網膜面に水平な断面像(Cスキャン:X-Y面)も高解像度で得ることのできる新しい装置である(図1)。従来のOCT画像が網膜上1ラインの走査により構築されているのに対し,Cスキャンは網膜上を2次元(X-Y方向)で走査し,さらに奥行き方向(Z方向)にも走査することで異なった層の網膜の断面像を得ることができ(図2),病変を3次元的に解釈することができる1~4)。
これまでBスキャンでのみ観察していた病変も,Cスキャンを併用することで,その大きさ,位置,形状,分布などを正確かつ容易に把握することが可能になる。本装置の原理は別項で論じられるので,本項では臨床応用につき概説する。
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