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特集 これからの眼底血管評価法
AO-SLO
AO-SLO
伊藤 逸毅
1
Yasuki Ito
1
1名古屋大学大学院医学系研究科眼科学・感覚器障害制御学教室
pp.1780-1784
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211650
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はじめに
眼底撮影の方法は,昔は眼底カメラが唯一の方法であったが,近年は走査レーザー検眼鏡(scanning laser ophthalmoscope:SLO)や光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)などさまざまな方式のものがある。しかし,どの方式のものであっても分解能に限界があり,画素数など検出する情報量をどんなに増やしても解像度はあまり向上しない(図1)。これは主に角膜および水晶体で発生する収差により焦点がぼやけてしまうためである。この収差は検眼鏡だけでなく顕微鏡,望遠鏡などあらゆる光学的な観察において常に生じるものであるが,その収差を補正する装置が,補償光学(adaptive optics:AO)である(図2)。このAOは,もともとは天文学における天体観測時の大気で発生する収差を補正して高解像度で天体を観測するために開発されたものであったが,これが眼底観察装置に導入されたわけである。
最初にAOが組み込まれた眼底観察装置は眼底カメラであった1)。そして,その後,ただ単に錐体細胞を撮影するだけでなく,短波長感受性錐体(short wavelength sensitive cones:S-cone),中波長感受性錐体(medium wavelength sensitive cones:M-cone),長波長感受性錐体(long wavelength sensitive cones:L-cone),の3種類の錐体細胞がそれぞれ初めて撮影されるなど2),錐体細胞を1つひとつ同定して観察,定量,評価するなどさまざまな研究が行われるようになった3)。
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