特集 眼科検査法を検証する
Ⅲ.緑内障
超音波生体顕微鏡(UBM)
栗本 康夫
1
,
近藤 武久
2
1信州大学医学部眼科学教室
2神戸市立中央市民病院眼科
pp.128-131
発行日 1998年10月20日
Published Date 1998/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906087
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超音波生体顕微鏡(ultrasound biomicroscopy:UBM)は,生体眼の主に前眼部をリアルタイムに観察するために開発された装置で1,2),その名にあるように顕微鏡のごとき高解像度をもって,従来観察不可能であった組織の描出が可能となった。特に後房など,虹彩より後ろの状態については,これまで生理的状態における詳細な検査は極めて困難であったし,前房隅角にしても角膜混濁などのために観察ができない場合もしばしば経験されるところであった。しかしUBMでは,このような部位や症例においても高解像度の画像を得ることが可能である。
UBMの登場は緑内障の臨床においてひとつのbreak throughとなり,緑内障の鑑別診断や病態の解明などに大きな成果を上げつつある。本稿では,まずUBMの原理とUBMが緑内障の臨床にもたらした成果とを概観し,UBMによる前眼部形状の生体計測について検証を行った後,UBMの緑内障臨床応用例を,自検例を中心に実例をあげて解説する。
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