特集 オキュラーサーフェスToday
Ⅱ ドライアイとオキュラーサーフェス
ドライアイの病因論—シェーグレン症候群を中心に
吉野 健一
1
1吉野眼科クリニック
pp.71-75
発行日 1997年10月20日
Published Date 1997/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905602
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角膜,結膜,涙液の相互関係を包括的にとらえ,疾患の病態形成をより深く究明するうえで「オキュラーサーフェス」という概念は非常に合理的である。たとえばその例としてドライアイの重篤なタイプであるシェーグレン症候群の場合,その特有な病態は角結膜細胞の脱落,バリア機能の低下,ムチン発現の減少,扁平上皮化生などの角結膜病変として観察される。しかしその背景には涙液の異常があり,病態の形成には「角結膜」と「涙液」の相互作用を考えると理解しやすい。この涙液は涙腺で産生され分泌されるため,ドライアイの病態は従来のオキュラーサーフェスの概念に加え涙腺も考慮に入れ「角結膜」—「涙液」—「涙腺」の相互作用として考えるとその病態は一層理解しやすくなると思われる。涙腺も含めたオキュラーサーフェス構成成分の相互作用を包括的に理解することにより,病態形成の原因と結果をより明確にすることが可能となり,これはより合理的な治療法の究明につながるものと考える。
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