病気のはなし
シェーグレン症候群
菅井 進
1,2
1金沢医科大学血液免疫内科
2慈豊会久藤総合病院
pp.784-790
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100711
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新しい知見
シェーグレン症候群(Sjogren's Syndrome,SS)では約5%に悪性リンパ腫を発症するが,その多くがMALT(mucosa-associated lymphoid tissue,粘膜関連リンパ組織)リンパ腫であり,局所に見られるリンパ上皮性病変がその発生母地と考えられている.MALTリンパ腫は以前には反応性病変と診断されていたものが多かったが,1983年にIsaacsonによって疾患概念が確立されたもので,主にリンパ節外組織のMALTに発症する.正常ではMALTのない胃,唾液腺,肺,甲状腺などの組織の炎症から発症することが多く,post-germinal center Bリンパ球の腫瘍である.長年にわたって局所に存在して臨床的には良性の経過をたどる低悪性度リンパ腫であるが,一部にびまん性大細胞型の高悪性度リンパ腫にトランスフォームして予後不良となる.抗原依存性に増殖し,リンパ球による炎症からリンパ腫への多段階発癌モデルに合致した経過をとり,免疫反応からリンパ腫発症をつなぐ重要な位置を占めている.
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