Japanese
English
連載 眼の組織・病理アトラス・98
シェーグレン症候群
Sjögren's syndome
猪俣 孟
1
Hajime Inomata
1
1九州大学医学部眼科学教室
pp.1922-1923
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908009
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シェーグレン症候群は,涙腺や唾液腺の慢性炎症によって乾性角結膜炎keratoconjunctivitissiccaや口内乾燥症xerostomiaを起こす原因不明の自己免疫疾患である。45〜60歳の女性に好発する。女性は男性の約10倍頻度が高い。
本症は,全身の結合組織病,特に慢性関節リウマチ,SLE (全身性エリテマトーデスsystemiclupus erythematosus),結節性多発性動脈炎などを伴わない原発性シェーグレン症候群primarySjögren's syndromeと,全身の結合組織病に伴って発症する続発性シェーグレン症候群secondarySjögren's syndromeとに分けられる。原発性シェーグレン症候群はHLA-B8やHLA-DR3の頻度が高く,続発性シェーグレン症候群ではHLA-DR4の頻度が高い。最初は眼と口腔内の乾燥症状だけで,原発性と思われていたものが,10年以上経過して,種々の結合組織病を発症することがあるので,原発性と続発性を明確に区別できないこともある。患者の70%に抗核抗体が陽性で,50%にリウマチ因子が陽性である。近年,シェーグレン症候群の原因として,EBV (EBウイルスEbstein-Barr virus)の感染が注目されている。
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