文庫の窓から
点眼瓶の今昔(その1)
中泉 行信
,
中泉 行史
,
齋藤 仁男
1
1研医会
pp.1386-1387
発行日 1992年9月15日
Published Date 1992/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901308
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わが国では昔から点眼瓶の代用として蛤の殼がよく用いられたらしい(武藤敏春氏),といわれるが,点眼の用具として点眼瓶が考案され,幾度か改良が加えられて今日のような点眼瓶が作られるようになった。今日そのすべての実物に接することは不可能なので,誌上に掲載された広告等により,投薬用点眼瓶の種類などを挙げてみようと思う。
辞書によると,点眼とは「眼に薬液を注ぎ入れること」であるが,そもそも点眼はどのように行われてきたのだろうか。小川劍三狼(1871〜1933)氏は『稿本日本眼科小史』(1904年刊)の中に,「点眼スルニハ如何ニセルカ詳ナラサルモ,恐ラクハ木或ハ金属ヨリ作レル棒ヲ用ヰタルナラン」と述べられている。江戸時代の占い眼科書(『眼科指南』)の中にも,底瘴(ソコヒ)の療治に「生脳2分,石膏2分,麝香1分,辰砂少,右ヲ細抹シテ目棒ニテサスベシ』と記されている。
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