連載 眼の組織・病理アトラス・70
眼窩炎性偽腫瘍
大西 克尚
1
,
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.1134-1135
発行日 1992年8月15日
Published Date 1992/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901259
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眼窩炎性偽腫瘍は眼窩の占拠性病変としては最も頻度が高い疾患である。その名のごとく真の腫瘍ではないが,炎症細胞の浸潤で眼窩に腫瘤を形成し,腫瘍のように増大する。症状が悪化すると視機能に重大な影響を及ぼすことがある。
眼窩炎性偽腫瘍は40〜60歳代に発症することが多い。患者は,疼痛,視力低下,複視などを自覚して来院する。他覚的には,眼球突出,眼瞼や結膜の発赤腫脹,結膜下にサーモン・ピンク調の腫瘤形成(図1),腫瘤触知,眼球運動障害,眼瞼下垂などが認められる。眼底変化として,網脈絡膜皺襞,後極部の網膜浮腫や視神経萎縮が認められることがある。経過が長く眼球突出が強い例では,まれに眼球が破裂することもある(図2)。
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