--------------------
あとがき
坂本 泰二
pp.1040
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410215259
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
現在は6月半ば,梅雨空を見上げながらこの文章を書いています。
私は眼科医として40年のキャリアを迎えようとしており,退官も間近に迫っています。その間,社会の変化は驚くべきものでしたが,眼科医療の進歩もまた著しいものでした。私が入局した頃,白内障手術の主流は囊内法でしたが,その後,水晶体超音波乳化吸引術と眼内レンズの導入により,眼科医療は一変しました。網膜治療においても,硝子体手術の隆盛が網膜剝離手術を大きく変革し,さらに抗VEGF薬の登場が網膜学の進歩に寄与しました。90年代には遺伝子研究が医療を変えると言われていましたが,それ以上に検査機器の進歩が眼科の世界を変えたと感じます。当然ながら,対象となる疾患も大きく変わりました。私の専門である網膜分野において,90年代までは糖尿病網膜症の克服が大きな目標でしたが,2000年代になると滲出型加齢黄斑変性の克服が目標となり,最近では地図状網脈絡膜萎縮の治療が現実的な目標になりつつあります。
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.