--------------------
あとがき
寺崎 浩子
pp.652
発行日 2020年5月15日
Published Date 2020/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213570
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
晴れ晴れとしたお彼岸の日にこのあとがきを書いております。所用で東京に向かう新幹線から外を見ますと,雲一つない富士山が全貌を表しています。いろいろな行事も中止を余儀なくされていますが,本号がお手元に届くのは5月ということで,少しは新型コロナウイルスの勢いも収まってきていることを祈ります。
さて,本号では,第73回日本臨床眼科学会(臨眼)の原著14本が掲載されています。さらに,そのときの臨眼で特別講演をされた千葉大学山本修一教授より総説を寄稿していただくことができました。先生のご講演のタイトルは,「患者に寄り添う網膜色素変性の診療」ですが,先生のご講演の前には,Paul Sieving先生の遺伝子治療についての招待講演(Trial の対象は先天網膜分離ですが)もあり,米国で承認されている網膜色素変性の遺伝子治療にも触れられたことから,山本教授のご講演を拝聴するにあたり,医学の進歩の中で我々が患者様をどのように見るかという意識が高まっていました。本総説では,OCTやマイクロペリメトリなどの検査により,自覚症状にみられる微細な進展が評価でき,また,白内障手術も,網膜機能を評価すれば良い適応になる症例もあること,さらには,ロービジョンケア,移植医療などにも言及されています。緑内障に次いで,日本における成人の主な失明原因になっている本疾患の重要性と我々の役割を考えましょう。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.