今月の表紙
陳旧性網膜剝離復位後の網膜内巨大囊胞の経時変化
出田 隆一
1
,
宮本 康平
1
,
寺崎 浩子
2
1出田眼科病院
2名古屋大
pp.563
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213133
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症例は17歳,女性。網膜剝離は黄斑部を含む下耳側象限にあり,複数の境界線と網膜下索状物および5時方向の赤道部に網膜内巨大囊胞を認めた。治療としてインプラント法による強膜バックリング術を行い,網膜復位を得た。左の写真は手術後2日目の所見で,バックル上の復位網膜内に網膜囊胞を認める。右の写真は術後9日目の所見で,網膜囊胞は消失している。網膜内巨大囊胞は陳旧性網膜剝離の所見であり,剝離網膜に生じた囊胞は時間とともに巨大囊胞となる1)。囊胞は網膜外網状層に生じ2),網膜復位を妨げない限り特別な治療を要しない。網膜巨大囊胞の経時変化に関する記述は少ないが2),今回の症例では,網膜復位後2日目に残存した囊胞は9日後には消失しており,囊胞は網膜復位に遅れて消失することがわかる。
撮影機種は2.1MPCCDセンサーを搭載したKowa VX-10iを用いた。画角は50°で,外部固視灯による視線誘導を行った。少しでも広い瞳孔径を確保するため,可視光での観察ではなく,赤外光を使用しモニター観察で撮影した。観察用と撮影用のイメージセンサーではピントの合う位置が少し異なるため,撮影した画像を見ながら微調節を行った。手術直後の撮影では,患者に苦痛を与えないように速やかな撮影を心掛けた。
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