今月の表紙
鎌状網膜剝離
山本 素士
1
,
西田 輝夫
2
1京都大学大学院医学研究科感覚運動系外科学講座眼科学
2山口大学
pp.1623
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102413
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症例は30歳,女性。1983年2月に左眼視力障害を主訴に近医を受診後,精査目的で当科を紹介され受診した。視力は右0.5(n. c.),左0.2(n. c.),前眼部,中間透光体に異常がみられなかった。両眼ともに眼底検査で網膜裂孔はなく,視神経乳頭から周辺部網膜へと鎌状に伸びる線維増殖組織が確認され,その収縮による牽引性網膜剝離がみられた。満期出産で家族歴はない。以上より鎌状網膜剝離と診断し,強膜バックルを用いた網膜剝離復位術を行い経過観察している。術後25年経過した2007年でも,視力は左(0.06)と低下しているものの網膜剝離の再発はない。
撮影にはNidek社無散瞳眼底カメラAFC-210を使用し画角45°で撮影した。NAVIS-Liteパノラマソフトを用いて写真を合成した。線維増殖組織が血管を巻き込んで牽引し周辺網膜に癒着している様子をイメージして撮影した。被検者の負担を軽くするため,病変部を捉える必要最低限の枚数を撮影するように心がけた。また,無散瞳眼底カメラを用いることによって眩しさの軽減を試み,固視の安定も得られスムーズな撮影ができた。
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