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あとがき
中澤 満
pp.1328
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212832
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現在,本稿を執筆しているのは7月中旬です。西日本に甚大な被害をもたらした豪雨の直後であり,被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。最近は毎年のように日本のどこかで大雨特別警報が発令されている印象があります。温暖化に伴って太平洋の海水から上空に大量の水分が蒸発し,それが日本各地に降雨となって襲いかかるという図式です。小欄が読者に届くのは9月ですので,今後夏から秋にかけて台風をはじめ,どのような災害に日本が見舞われるのか予想もできませんが,できる限りの対策は講じておきたいものです。
さて,本号では「今月の話題」に篠崎尚史先生の「献眼と海外角膜—高レベルの移植角膜供給のために」が掲載されています。常々,日本と米国との献眼数の圧倒的な違いが彼我の文化的相違に基づくものである,とある種の諦観をもって捉えておりましたが,実際はそうではなく,米国では献眼数を増やすために国を挙げてそれなりの対応策を講じてきた結果,今があるとの内容です。しかも,日本の海外角膜に依存している現状は好ましいものではなく,むしろ「イスタンブール宣言」に違反している状態であるとのことです。眼科医だけの力では到底現状を打破することはできないでしょうが,しかし献眼数の増加は国を挙げて取り組むべき課題であることを認識させられます。
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