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読者の皆様,『臨床眼科』2013年3月号をお届けします。今月から昨年の臨床眼科学会での講演原著の掲載が始まりました。実際に学会に出席された方々でもとてもすべてのサブ領域を網羅的に概観することは無理だと思いますので,本誌を用いて原著論文で改めて内容を吟味するのも臨床眼科医としての実力アップに結びつくこと請け合いです。小さな一歩一歩の積み重ねを継続させることが,後から大きな収穫を得る秘訣で,今月も非常に参考になる報告が満載されています。特にラニビズマブ単独治療導入期に連続3回投与が必要かどうかの検討(井尻茂之氏ら)などは今後も色々な施設で検討する意義があるでしょう。お薦めの一編です。
本号を通読して気がついた共通点をいくつか挙げてみます。第1にOCTを中心とした画像診断です。網膜硝子体疾患の診療では黄斑部網膜外層(「網膜が厚くなる疾患1」,香留 崇氏ら),そして緑内障の診療では黄斑部網膜内層(「緑内障における網膜神経節細胞層の菲薄化」,宇田川さち子氏ら)の詳細な所見の解析が行く行くはそれぞれの疾患の視機能の判定や予後を予測できるという内容で,網膜硝子体と緑内障の接点がOCTによって黄斑に求められると考えられます。そして将来期待される次世代のOCT(「黄斑研究会」,伊藤逸毅氏),より広く,より深く,より詳細にということで興奮します。第2に甲状腺眼症(「基礎からわかる甲状腺眼症の臨床」,柿﨑裕彦氏)と眼筋型重症筋無力症(「つけよう! 神経眼科力」,三村 治氏)があります。この2疾患では内科医や神経内科医よりも眼科医が診断や治療にイニシアチブを発揮するべきという理路整然たる内容に脱帽です。私なぞこれまで多くの患者さんを見逃していたと思われ,不勉強を反省しております。
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