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「臨床眼科」9月号をお届けします。小欄執筆時の本日は実は七夕なのですが,9月のことをあれこれと連想しながら書いています。リオデジャネイロオリンピックが8月で終わり,何となく祭りの後の空虚感に浸りつつも,9月のパラリンピックを観戦している,といった状況が思い浮かびます。4年前のロンドン大会がつい先日のことのように感じられますが,そうすると4年後の東京大会などもあっという間ということになります。本当に早いものですね。私なども任された任期に限りがありますので,とにかく集中力をいかに維持させるかが常に自分に対する課題となっています。
ところで,今月も「臨床眼科」は盛りだくさんの内容です。「今月の話題」では溝田淳先生に重粒子線治療による涙腺悪性腫瘍と脈絡膜悪性黒色腫の治療の現状について大変わかりやすく解説していただきました。両腫瘍とも標準的治療では眼球を残すことが厳しい状況ですが,視機能はともかくも眼球温存を図ることができるという点において重粒子線療法には有用性があるものと思います。ただ,私の経験では眼球温存できるからといって手放しで喜べないことも理解しておく必要があるようで,放射線網膜症に伴う血管新生緑内障の発症は念頭に置いたほうがよく,場合によっては予防的な網膜光凝固も早期に考慮すべきではないかと感じています。「緑内障道場」では小児の「高眼圧」症例に対する考え方が実に要領よく述べられています。私も時にこのような症例を診察することがあり,長い将来のある小児を高眼圧症として治療開始するべきかどうか迷うことがあります。本欄はその指針として非常に有用な内容になっています。その他にもさまざまな内容があり,オリンピック後の空虚感を紛らわせるのに十分すぎるほど充実した本号を,早秋の読み物としてご愛読願います。
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