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あとがき
中澤 満
pp.464
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212212
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臨床眼科3月号をお届けします。今月号から第70回日本臨床眼科学会で発表された一般演題の原著論文が順次掲載されます。症例報告では日常臨床の現場でいつ遭遇するとも限らない,稀ではあるけれども見逃すことのできない貴重な臨床例が記載されています。とくに75歳という高齢者の眼窩先端症候群が副鼻腔のアスペルギルス感染が原因だったという村尾史子氏らの報告には,眼窩先端症候群にはステロイド療法という治療選択の前には十分な鑑別診断が必要である,という警鐘が含まれています。このような症例は,時代を越えて繰り返し報告される必要があると思われます。そのほか,新しい治療薬や手術術式の治療成績も今後の治療選択を広げるうえで参考になることでしょう。
「今月の話題」は長岡泰司氏による「眼底血管イメージングの最近の進歩」です。OCTの血管撮像への応用をはじめ,眼血流測定法に関してもよくまとめられています。「熱血討論!緑内障道場」では普段対応に苦慮する「低眼圧なのに進行する緑内障例」に対する診断と治療に関する考え方が溝上志朗,馬場哲也,中澤 徹の3氏によって詳細に述べられており,「なるほど」と思わせられました。また,2年半にわたって連載されました「目指せ!眼の形成外科エキスパート」は今回をもって終了となります。柿﨑裕彦氏をはじめ執筆に当たられた先生方,ご苦労さまでした。2013年に日本眼形成再建外科学会が設立されましたが,学会の興隆と日本の眼科医の中に眼形成外科の考え方がさらに普及することもあわせて祈念します。
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