今月の表紙
網膜細動脈瘤に伴う硬性白斑
関向 秀樹
1
,
中澤 満
2
1福島県立医科大学
2弘前大学
pp.1302
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212386
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症例は73歳,女性。右眼上方の視野異常を自覚し,近医を受診した。網膜細動脈瘤と黄斑浮腫を指摘され,当院へ紹介となった。初診時の右眼視力は(0.2)。中間透光体には軽度白内障がみられた。中心窩の下耳側に網膜細動脈瘤(矢印)があり,黄斑部に漿液性網膜剝離と輪状硬性白斑(枠内)を認めた。フルオレセイン蛍光眼底造影で網膜細動脈瘤からの蛍光漏出が確認されたので,動脈瘤に対しレーザー光凝固を行った。治療後,漿液性網膜剝離は消失した。治療に先立ち,黄斑部にかかる硬性白斑を撮影した。
撮影はImagine Eyes社製補償光学(AO)網膜イメージングカメラrtx1TMで行った。rtx1TMはAOシステムを搭載することで角膜や水晶体の高次収差による歪みを抑え,視細胞(錐体細胞)撮影が可能なカメラである。最初に錐体細胞撮影を試みたが,白内障と黄斑浮腫のため,残念ながら錐体細胞は写らなかった。その後フォーカスを浅くすることで硬性白斑にピントを合わせた。白内障のためAOシステムが機能しない場面もあったが,撮影光路の選択により難渋しながらも硬性白斑のAO画像を撮影することができた。
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