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臨床眼科3月号をお送りします。この原稿を書いているのはこの冬一番といわれる寒気が日本列島を包んで,各地で雪による交通被害が続出している最中ですが,本誌が皆様のお手許に届けられるのは北日本でも雪解けが進んでいる頃ではないかと想像しています。どんなに雪が深く積もっても,桜の時期が来る前には必ず解けてしまう自然の摂理は感動的でさえあります。そしてその雪解け水が伏流水となって農作物の栄養を支え,私達の口に入り成長を助け,かつ一部では老化をも促進することとなる訳です。これも自然の摂理でしょうか。
そして,本誌は今月もちょうど程よいボリュームで私達の脳細胞を活性化できる内容となっています。「今月の話題」は岐阜大学の澤田明先生による「体位と眼圧変動」です。私達が通常の診療で使用しているGoldmann眼圧計は常に座位での測定となっていて,私達は眼圧といえば座位でのものと自然に洗脳されています。しかし,血圧が体位の影響を受けるのと同様に眼圧もそれなりに影響を受けること,しかも座位より仰臥位や側臥位のほうが高眼圧になることから,日常生活の中での眼圧値は体位変化によってかなり修飾されたものとなるであろうことが想像されます。今後はこのような点をも考慮した眼圧値のモニタリングが普及してくることが予想されるところです。小児眼科の連載では産業医大の近藤寛之先生による小児の遺伝性網膜硝子体疾患です。FEVR,Stickler症候群そして若年網膜分離の3者に絞られていますので,大変理解しやすい内容です。形成外科は井出眼科病院の三戸秀哲先生による挙筋短縮術指南で,ポイントが押さえられた珠玉の手術指南となっています。「英文論文執筆テクニック—虎の巻」は柿﨑裕彦先生による各論の第1回目となりました。細かなポイントが簡潔に押さえられていて,若い読者向けではありますが大学院生を指導する立場の私自身も実は大変勉強になっています。その他,この欄では紹介しきれませんが,珍しいけれど大変重要な症例報告や臨床研究が満載です。インフルエンザワクチン後の眼合併症など目が離せません。詳しくは論文を読んで頂きたいと思います。
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