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特集 前眼部診療の最新トピックス
羊膜移植術
Amniotic membrane transplantation
中村 隆宏
1
,
外園 千恵
2
Takahiro Nakamura
1
1京都府立医科大学感覚器未来医療学
2京都府立医科大学眼科学
pp.188-193
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212159
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はじめに
羊膜は,妊婦の子宮内で胎児と胎盤を包んでいる最内側の膜(約100〜150μm)であり,単層円柱上皮である羊膜上皮,生体内で最も厚いといわれている基底膜,およびコラーゲンに富む実質組織(海綿層,緻密層)より構成されている(図1)。通常分娩時に医療廃棄物として扱われているが,羊膜を用いた治療の試みは,さまざまな分野で古くから行われており,例えば外科および皮膚科領域において腹部手術時の癒着防止や皮膚熱傷後の被覆(パッチ)による上皮修復促進,また人工膣形成術などに臨床応用されてきた。眼科領域では1995年にマイアミのグループが眼表面疾患に対する羊膜移植の有用性を動物実験レベルで報告1)したのを皮切りに世界中で研究が行われ,現在では眼表面疾患に対する羊膜移植の臨床効果は国際的に認められている。本稿では,羊膜移植のこれまでの歴史,現状および将来的展望を概説する。
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