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特集 前眼部診療の最新トピックス
眼表面疾患の再生医療
Regenerative medicine for ocular surface diseases
大家 義則
1
Yoshinori Oie
1
1大阪大学大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学(眼科学)
pp.182-186
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212157
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再生医療とは
「再生医療」に当たる英語は“regenerative medicine”や“tissue engineering”が挙げられるが,このなかでもtissue engineeringの概念を打ち立てたのはRobert LangerとJoseph P. Vacantiである1)。Langerらによるとtissue engineeringとは,「生物学や工学の原理を用いて損傷を受けた組織を再建するための機能的な代用物を作製する,多分野にまたがる新しい学問」である。その実現のためには,細胞,増殖因子,細胞外マトリックスの3因子が非常に重要であると考えられ,これらを組み合わせて目的とする組織の人工的な再建を行う。すなわち培養細胞を用いて患者の損傷された機能を再建するような方法も含まれるし,コラーゲンや人工のポリマーを用いて増殖因子などを投与することで機能を再建する方法も含まれる。
また,その対象となると考えられる組織や臓器は非常に多岐にわたっており,皮膚,骨,軟骨,血管,肝臓,腎臓,角膜,膀胱,肺,歯などがその対象となると考えられる。「再生医療」という言葉が注目を浴びているのは,この技術の発展により,対症療法的な現在までの治療方法から培養細胞などを用いた根本治療へと変化させるパラダイムシフトとなる可能性があるからである。
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