特集 眼科基本診療Update—私はこうしている
2.治療に必要な基本技術
眼表面・角膜疾患の治療
角膜移植および羊膜移植の適応と注意点
島﨑 潤
1
1東京歯科大学市川総合病院眼科
pp.214-217
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907071
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角膜移植の適応
角膜の役割は,大きく分けて,1)光を通す。すなわち,透明であること,2)光を屈折する。よく知られているように,角膜は水晶体の約2倍の屈折率を持っている,3)強膜とともに,眼球壁の一部を形成している,の3つがある。角膜移植は,これらの働きが損なわれ,かつ内科的治療でこれを治すことができないときに適応となる。具体的には,1)角膜が混濁したとき,2)角膜が光を正しく屈折しないとき——この2つは,いわゆる「光学的角膜移植」の適応であり,角膜実質炎やヘルペス角膜炎後の混濁,あるいは円錐角膜がその例となる。これに対し,3)角膜が穿孔したときに行われるのは「治療的角膜移植」にあたり,外傷,潰瘍の穿孔がその例となる。
わが国の角膜移植で頻度の高い原因疾患は,1.角膜白斑,2.水疱性角膜症,3.再移植,4.円錐角膜である(図1)。特に水疱性角膜症は,内眼手術の増加とともに頻度が増加しており,白内障術後,硝子体手術後,レーザー虹彩切開術後に発症する例が増えている。
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