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はじめに
トラベクロトミーは,合併症も少なく安全な手術として広く行われてきたが,術後眼圧がhighteens1)であり,進行した緑内障症例には行いにくい手術であった。しかし,sinusotomy2)やdeep screlectomyを併用することにより3)術後眼圧をさらに低くすることができるようになり,初期の緑内障症例ばかりではなく,比較的進行した症例にも手術適応が広がってきた。このようにトラベクロトミーは,初期の緑内障症例においても合併症もほとんどなく眼圧を下げることができる術式であり,これをマスターすれば緑内障手術適応が大きく広がることになり,緑内障手術を志す術者は必ず習得すべき手術である。
一方,トラベクレクトミーは,マイトマイシンCを併用することにより従来のトラベクレクトミーより術後の眼圧コントロールも良好となったが4),それによる重篤な併発症4,5)が大きな問題となり躊躇されるようになった。トラベクレクトミーの術後合併症のためにトラベクロトミーはその安全性から再度見直されるようになった。
トラベクロトミーは術後の合併症は少ないが,手術手技においてやや難しいところがある。これをマスターしなければ正確な手術を行うことが難しくなり,ひいては手術による合併症をさらに引き起こすことになる。この手術手技の合併症は,Schlemm管の発見,プローブの挿入と回転時に最も起こりやすい。そこで特にこの点において手術中の合併症を避けるための手技を中心に解説する。トラベクロトミーの術後合併症はほとんどない。しかし,この手術特有の合併症があり,その管理には注意を要する。本稿では,血液逆流,術後高眼圧,Descemet膜剝離への対応について概説する。
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