特集 発生から紐解く 胎児超音波診断アトラス [Web動画付]
第3章 胎児心臓の超音波検査
2.流出路異常
-b.完全大血管転位症
吉松 淳
1
J. Yoshimatsu
1
1国立循環器病研究センター産婦人科
pp.1345-1348
発行日 2020年11月30日
Published Date 2020/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001498
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完全大血管転位症(complete transposition of great arteries;TGA)は新生児期にチアノーゼを呈する先天性心疾患である。正常ではらせん状に発生する円錐動脈幹中隔が直線的に発生することが原因と考えられている。TGAでは,右室から大動脈,左室から肺動脈が起始している。つまり,上大静脈,下大静脈から右心房に還流した血液が肺を経由せず体循環に戻ることになる。そのため静脈血が体をめぐることになりチアノーゼを呈する。一方,肺静脈から左房に還流した血液は肺動脈から肺を循環する。体循環と肺循環が独立して並列に存在するため,酸素化された血液を体循環に供給するためには短絡路がなくてはならない。
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