特集 発生から紐解く 胎児超音波診断アトラス [Web動画付]
第3章 胎児心臓の超音波検査
2.流出路異常
-d.純型肺動脈閉鎖
渡辺 健
1
K. Watanabe
1
1田附興風会医学研究所北野病院小児科循環器部門
pp.1355-1361
発行日 2020年11月30日
Published Date 2020/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001500
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純型肺動脈閉鎖は,右室から起始する肺動脈が閉鎖しているが,心室中隔欠損を伴わない疾患である。頻度は新生児先天性心疾患の1%程度で,染色体異常および心外奇形の合併は少ない。肺動脈閉鎖は正常弁に近い構造をもつ膜様閉鎖から弁構造がまったくない漏斗部閉鎖(筋性閉鎖)までみられ,右室容量は正常から右室として機能しないほど小さいものまでみられる1)。稀に右室容量が大きく,右房拡大が著明なこともある2)。右室は,正常と同様に流入部,肉柱部,流出部を有する三部分型,肉柱部または流出部がない二部分型,流入部のみの一部分型に分けられ,流出部がない場合は漏斗部閉鎖となる3)。また,冠動脈病変を合併することに注意する必要がある4)。このように純型肺動脈閉鎖はその形態・血行動態は幅広いスペクトラムを有し,その治療方針は様々である。
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