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特集 遺伝性網膜疾患のトータルケア
【治療と対応】
網膜ジストロフィをもつ小児への対応
Care for child with retinal dystrophy
村上 晶
1
Akiko Kimura
1
1順天堂大学大学院医学研究科眼科学
pp.1636-1640
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211623
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はじめに
小児期に発症する網膜変性疾患には,さまざまなものがある。網膜色素変性(retinitis pigmentosa:RP)の多くは,10歳前後には,診断可能であるとされている。若年発症のRPである程度オーバーラップするものに,Leber先天黒内障(Leber congenital amaurosis:LCA,MIM 204000)がある。1869年,von Leber1)は生後早期に発症するRPについて記載しているが,これにちなんで,生後間もなくから発症する網膜ジストロフィをLCAと呼ぶようになっている。ちなみに,Leberはこの報告とは別に,遺伝性視神経症の記載をしており,これは現在,ミトコンドリアDNAの異常で起こるLeber病視神経症の病名の由来となっている。錐体ジストロフィやStargardt病においても視力の低下は小児期から始まっていることが多い。一方で,RPでは自覚症状に乏しく偶発的に眼底検査で発見される場合もある。そのケアも,診断から始まり,疾患の説明,就学の相談,ロービジョンケア,遺伝相談など多岐にわたり,対象は家族全体に拡がるという性質がある。小児科医のみならず,さまざまな専門をもつスタッフの協力が必要である。本稿では,小児網膜変性疾患の代表疾患であるLCAについて概説を行いながら,網膜ジストロフィをもつ小児への対応について概説する。
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