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特集1 脈絡膜と網膜疾患
脈絡膜と加齢黄斑変性
Age-related macular degeneration and the choroid
古泉 英貴
1
Hideki Koizumi
1
1東京女子医科大学眼科
pp.136-141
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211213
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はじめに
加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:以下,AMD)は先進国の視覚障害の主たる原因であり,わが国においても中途失明原因の第4位に位置する重要な疾患である。厚生労働省の分類ではドルーゼンや網膜色素上皮(retinal pigment epithelium:以下,RPE)異常といった前駆病変を有する早期AMDと,その進行形である後期AMDに大別され,さらに後期AMDは境界明瞭な網脈絡膜萎縮を特徴とする萎縮型AMD,脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:以下,CNV)を伴う滲出型AMDに分けられる。AMDは多因子かつ慢性疾患であり,遺伝学的背景や全身的要因,さらには食生活や喫煙などの環境要因が複雑に絡み合いながら発症,進行すると考えられている。
AMDと脈絡膜との関連については古くから多くの議論がなされてきた。特に脈絡膜毛細管板はRPEと網膜外層の恒常性維持に不可欠な役割を担っており,脈絡膜循環異常はAMDにおける病的変化に深くかかわっている可能性がある。
本稿ではまず,古くからさまざまな方法論で検討されてきたAMDと脈絡膜の関連につき概説する。近年,光干渉断層計(optical coherence tomograph:以下,OCT)の著しい技術革新により,以前は不可能であった脈絡膜断層像の取得が可能となった。AMDの各病型における脈絡膜断層像の特徴と臨床的意義,さらには治療に伴う変化や予後因子としての側面につき解説を加えたい。
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