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はじめに
加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)は先進国の視覚障害の主な原因であり,わが国においても中途失明原因第4位の重要な疾患である。厚生労働省の分類ではドルーゼンや網膜色素上皮(retinal pigment epithelium:RPE)異常といった前駆病変を有する早期AMDと,その進行形である後期AMDに大別され,さらに後期AMDは境界明瞭な網脈絡膜萎縮を特徴とする萎縮型AMDと脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)を伴う滲出型AMDに分けられる。
AMDと脈絡膜の関連については以前より多くの議論がなされてきた。脈絡膜は眼血流の80%以上を担っているとされ,RPEと網膜外層の恒常性維持に不可欠な組織である。したがって,脈絡膜循環異常はAMDにおける網脈絡膜の病的変化に深くかかわっていると考えられる。また,滲出型AMDにおけるCNVの発生母地はいうまでもなく脈絡膜であるが,最近までCNVそのものばかりが注目される傾向にあり,その背後に存在する脈絡膜がどのように病態や予後に関与しているかは明らかでなかった。
近年,光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)の著しい技術革新,とりわけenhanced depth imaging(EDI)-OCT1)やスウェプトソース方式による高侵達OCT2)の登場により,網膜のみならず脈絡膜断層像,とりわけ脈絡膜厚の評価が可能となり,AMDにおいても病態との関連が注目されている。本稿ではAMDの各病型における脈絡膜断層像の特徴と意義,さらには各種治療に伴う変化や予後因子としての側面について解説する。
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