特集 網膜色素変性症の最前線
加齢黄斑変性の病態
吉田 綾子
1
,
石橋 達朗
1
1九州大学医学部眼科学教室
pp.1540-1545
発行日 2003年10月15日
Published Date 2003/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101386
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はじめに
加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)は高齢者の黄斑に生じる疾患で,高齢化社会の進行に伴い増加の一途をたどっている。Birdら1)は加齢に関連した黄斑の変化を加齢黄斑症(age-related maculopathy:ARM)としてまとめ,初期と後期に分けた。初期加齢黄斑症(early ARM)とはドルーゼンや網膜色素上皮細胞(retinal pigment epithelial cell:RPE)の異常がみられるもので,後期加齢黄斑症(late ARM)とは脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)が関与する滲出型と,CNVが関与せず網膜色素上皮(retinal pigment epitheliun:RPE)や脈絡膜毛細血管の地図状萎縮病巣を認める萎縮型に分類される。すなわちlate ARMはAMDを指す。比較的視力予後がよい萎縮型に比べて,滲出型は視力低下をきたすことが多く,臨床的に重要な疾患となっている(図1)。滲出型AMDでは,黄斑に脈絡膜からRPE下,あるいは網膜下に新生血管が伸展し,出血や滲出性病変を生じ,最終的には瘢痕組織を形成する疾患である。その基本病態はCNVである。
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