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眼科摘要
中泉 行信
1
,
中泉 行史
1
,
斉藤 仁男
1
1研医会
pp.1110-1111
発行日 1986年9月15日
Published Date 1986/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209866
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オランダの海軍衛生官ポンペPompe van Meerder-voort (1829〜1908)が安政4年(1857)8月,来日し,長崎の養生所において,日本で初めて系統的医学教育を行ったことは一般によく知られている.ポンペの医学講義は予備学科,基礎医学および臨床医学の順で行われたが,眼科学の講義においても眼の解剖学や生理学を解説した後に眼病の診断や治療が説明されたといわれている.ポンペの講述したものは主に松本良順(字,子良,号,蘭疇,楽痴,1831〜1907)の筆記に係るもので,今日写本にて伝えられているものもある.
外人教師の講義録をその門下生などの翻訳により刊行された眼科書の主なものには本書の外にもミユルレルの眼科全書(田口和美訳,明治4年刊),シユルツェの講義録(甲野棐訳,明治9年刊)等があり,ポンペの「眼科摘要」はヨーロッパ医道変革後の説に基づく最も新しい眼科として,明治の初めに広く読まれた眼科書である.
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