文庫の窓から
眼科治論書
中泉 行信
1
,
中泉 行史
1
,
斉藤 仁男
1
1研医会
pp.170-171
発行日 1987年2月15日
Published Date 1987/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209949
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わが国の天保10年(1839)より嘉永7年(1854)までの間は多くの急進派蘭学者の投獄,蘭書翻訳の取締,翻訳医書出版の許可制,あるいは医官の蘭方行為厳禁等々幕府の蘭方への弾圧が強められ,いわゆる蘭学圧迫時代であったが,幸い外科や眼科は大目にみられ,熱心な医家や蘭学者達によってオランダ医書の翻訳が,次々に行われた.しかし,このような事情のため原著や翻訳者の名が明らかでない翻訳書などが多い.「眼科治論書」もこうした類のものか,今日伝えられている写本には"1792年越児物鏤行"とあるのみである.
掲出の「眼科治論書」は内田貞氏(浜松)が他の一本により校訂したもので,63葉全1冊,和綴(26.5×18.8cm),漢字・片仮名混りの和文,本文57葉,附録6葉よりなる精写本,内容は内障眼手術,焮衝眼図解について述べたものであるが,今その標目よりみると以下の通りである.
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