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特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その3)
学術展示
Lecithin:Cholesterol acyltransferase (LCAT)欠損症の1例
A case of lecithin : Cholesterol acyltransferase (LCAT) deficiency
小林 元巳
1
,
澤 充
1
,
赤沼 安夫
2
,
村山 直樹
3
,
細田 瑳一
3
Motomi Kobayashi
1
,
Mitsuru Sawa
1
,
Yasuo Akanuma
2
,
Naoki Murayama
3
,
Saichi Hosoda
3
1自治医科大学眼科
2東大第3内科
3自治医科大学内科
1Department of Ophthalmology, jichi Medical School
2Deparment of Ⅲ rd. Internal medicine, Univesity of Tokyo, School of Medicine
3Department of Internal Medicine, jichi Medical School
pp.352-353
発行日 1983年3月15日
Published Date 1983/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208849
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- Abstract 文献概要
緒言Lccithin:cholesterol acyltransferase (LCAT,欠損症は,1967年ノルウェーにおいて初めて報告された遺伝性疾患で,現在までに北欧を中心としていくつかの家系が報告されている。わが国では,1979年,最初の報告がなされている1)。今回我々の経験したわが国で第3家系目のLCAT欠損症について,本症の角膜病変像を中心に報告する。
症例47歳男性。学童期より角膜混濁を認める,34歳時,定期検診にて蛋白尿を指摘され,45歳時,下腿浮腫に気付く。47歳夏より浮腫が増強,血圧220/80mmHgとなり近医受診,精査のため当院内科入院,角膜混濁のため当科紹介となる。家族歴では姉と母方の祖母の妹に同様の角膜混濁を認める(図1)。血族結婚はない。V.d.=1.2(n.c.), V.s.=1.5(n.c.)。両角膜は全体に混濁を認めるが,混濁は周辺部で強く,リング状となり老人環に似る。また,リング状の混濁と輪部との間には幅の狭い比較的透明な部分が介在するが,混濁の周辺部境界は不明瞭である(図2)。混濁部位の糸田隙灯所見では,Bowman層からDescemet膜前面まで実質全層にわたり微細な点状混濁が散在する(図3)。角膜内皮細胞は,平均細胞面積315±67μm2で六角形主体の正常内皮像を呈し,内皮細胞の異常を疑わせる所見は認めない(図4)。
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