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特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その2)
学術展示
ぶどう膜炎症状を示した小児の網膜芽細胞腫の症例—前房内浮遊細胞および硝子体混濁の細胞学的検索の意義
Aqueous humor cytology of the atypical retinoblastoma
山下 秀明
1
,
宇山 昌延
1
,
文元 章能
1
,
本間 哲
1
Hideaki Yamashita
1
,
Masanobu Uyama
1
,
Akiyoshi Fumimoto
1
,
Satoshi Honma
1
1関西医科大学眼科教室
1Department of Ophthalmology, Kansai Medical University
pp.218-219
発行日 1983年2月15日
Published Date 1983/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208823
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- Abstract 文献概要
緒言網膜芽細胞腫がぶどう膜炎様症状を示すことがあり,その場合は診断が非常に困難となる。今回,小児に発症した原因不明の難治ぶどう膜炎の治療中に前房内浮遊細胞および硝子体中滲出物の細胞学的検索を行って網膜芽細胞腫と診断された症例を経験したので報告する。
症例10歳男児。1980年3月,右眼充血血に気づくも放置,5月に視力低下を自覚し某医受診,眼内炎の診断のもとに抗生剤,ステロイドの大量投与を受けたが軽快しないので,1980年5月20日当科受診した。初診時,矯正視力右0.3,左1.5,眼圧右49mmHg,左20mmHg。右眼所見;中等度毛様充血,前房水は大型滲出物を含み混濁,虹彩上に灰白色の円形の塊状滲出物を多数認めた。更に硝子体中に濃厚な惨出物と,網膜に白色の滲出物を認めた。強力な眼圧降下薬物治療を開始した。その後前房混濁が増悪し前戸蓄膿を認めたため(図1),7月10日と11月5日の2回前房水を採取し電顕にて細胞を観察したところ,悪性腫瘍細胞を認めたので1981年1月7日よりCo60を150rads,10回照射した。前房水混濁と虹彩上滲出物はほぼ消失したが,水晶体混濁が出現した。5月中旬より再び前房水混濁と虹彩上滲出物の出現をみ,7月29日前房水採取と同時に硝子体手術の上,水晶体吸引と硝子体滲出物を採取し,細胞診を行い,その結果,網膜芽細胞腫の診断を得た。
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