Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
最近10年間に,組織診断の行われた眼内に初発した悪性リンパ腫を4例7眼経験した。患者は中・高齢者で,激しいぶどう膜炎を示し,とくに黄白色の広範囲に拡がる網膜・脈絡膜の濃厚な滲出斑,多量のみぢん状硝子体混濁を主症状とし,やがて虹彩後癒着,虹彩rubeosisと血管新生性緑内障を合併し,数ヵ月で視力が失われた。1例は前房蓄膿と虹彩結節,球結膜下腫瘤,眼球突出を示した。
この時期には何ら全身症状がなく診断は確定しなかったが,数ヵ月おくれて多中心性に全身に悪性リンパ腫の症状があらわれた。2例は全身哀弱で死亡した。死後剖検(2例),皮膚結節の生検(1例),摘出眼球の検査(2例)により,ぶどう膜炎の原因が2例はlymphocytic lymphoma,2例はhistiocytic lymphoma (reticulum cell sarcoma)であることが判明した。腫瘍細胞はlymphocytic lymphomaではぶどう膜に,histiocytic lymphomaでは網膜に浸潤していた。
最初の3例は診断困難で失明したが,最近の1例は房水の細胞診を行って本症であることを確認し,眼部へ放射線療法(4,000rads)を行い消炎しえた。
本症が疑われる原因不明の難治のぶどう膜炎には前房水,または硝子体の細胞診を行い早期に診断を確定し,眼部へ放射線療法を行うのが眼球を救いうる手段としてすすめられる。
We evaluated 7 eyes (4 cases) with severe uveitis due to malignant lymphoma of the uveal tract and the retina seen during the past 10 years. The patients were all females and were aged between 32 and 69 years. While both eyes were affected, there was usually an interval of several months before involvement of the second eye.
The initial symptoma was either serous iritis or retinal edema at the posterior pole.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.