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陳旧性の網膜静脈枝閉塞症に合併した網膜裂孔の症例において,網膜裂孔の成因について考察した。
症例は69歳の女性であり,左眼の静脈閉塞部位より末梢の領域に6個の網膜裂孔が観察された。
詳細な眼底ならびに硝子体検査により,各裂孔は静脈閉塞後,網膜の循環障害により,網膜の萎縮,変性が生じ,脆弱化した網膜が後硝子体剥離により牽引されて発生したものと考えられた。
静脈閉塞症と関係ないと思われた,一見閉塞領域外に存在した周辺部の裂孔は,螢光眼底的に裂孔周囲の危細血管の閉塞所見がみとめられたことから,静脈閉塞症と関連性があるものと考えられた。
新生血管は網膜剥離の発生に重要な役割を演じているが,網膜裂孔の発生には必ずしも重要な要因ではないと考えられた。
本症例が網膜剥離にまで至らなかったのは,新生血管の形成がほとんどなかったため,網膜と硝子体との癒着,牽引の程度が少なかったためと推測された。裂孔形成と脈絡膜循環系との関連性については,今回言及しえなかった。
A 69-year-old female manifested asymptomaticmultiple retinal tears secondary to retinal branch vein occlusion in her left eye. The retinal tears were apparently formed by retinal traction following posterior vitreous detachment in addition to retinal atrophy and degeneration after retinal vein oc-clusion.
There were additionally two retinal tears outsideof the retinal area involved in retinal vein occlu-sion. Fluorescein angiography revealed capillary nonperfusion around these retinal tears.
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