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特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その6)
学術展示
網膜赤道部変性といわゆる網脈絡膜萎縮巣
Equatorial degeneration and Chorioretinal atrophy
佐藤 清祐
1
,
西山 愛子
1
,
嶺崎 育世
1
,
高村 悦子
1
,
中野 由宇子
1
Kiyotaka Sato
1
,
Aiko Nishiyama
1
,
Ikuyo Minezaki
1
,
Etsuko Takamura
1
,
Yuko Nakano
1
1国立病院医療センター眼科
1Department of Ophthalmology, National Medical Center Hospital
pp.1172-1173
発行日 1982年9月15日
Published Date 1982/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208718
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- Abstract 文献概要
緒言著者らの赤道部変性の螢光造影所見1,2)では色素上皮の異常を反映する変性巣内の顆粒状過螢光と変性巣およびその周囲における網膜血管閉塞が90%以上の高率に見られ,その他網膜血管からの漏出,微細血管瘤形成等が見られたが,はじめはこれらの所見を赤道部変性の発生病理とどう結びつけるかは明確には理解しえなかった。その後螢光造影検査を多くの例に行った結果,上記螢光像所見はおそらく原発性の網脈絡膜炎とそれに続発する網膜血管炎を示唆すると考えるようになった。また赤道部変性患者の眼底を注意深く観察していると,網脈絡膜炎の痕と考えられるいわゆる網脈絡膜萎縮巣を見出すことが多いのに気付いていた。この点からも赤道部変性と網脈絡膜萎縮巣との間に病因論的に関連がありそうだと考え,この点を確めるため両者の関連性を統計学的に検討したところ,興味ある結果を得たので報告する。
対象と方法対象は赤道部変性で経過を観察している118名,222眼である。網脈絡膜萎縮はSchepensらが網脈絡膜炎の痕と規定しているChorioretinal scar(網脈絡膜瘢痕)を主体とするが,それと共にSchepensらがFocal pigment proliferation(限局性色素増殖巣とでも訳すべきか)と呼んでいる変化をも加えてある。前者は網脈絡膜の韮薄化を主体とした萎縮性瘢痕であり,後者は色素増殖の著明な増殖性瘢痕であると理解してよいので,両者を同列に扱った。
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