斜視の原因と治療
Ⅻ(最終回).外斜視の原因とMaster Eye手術の効果
三井 幸彦
1
1徳島大学
pp.258-259
発行日 1980年2月15日
Published Date 1980/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208044
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本シリーズを終るにあたつて,外斜視の原因とMastereyeを手術した場合の効果とを一括してみよう。既に100例以上の患者について手術してみたが,その効果は抜群であり,持続的である。かつその効果が機能的であることを示している。
図1は外斜の成因を模式化したもので,黒の矢印で示すように異常が進展するものと推定される。特発性のものでは何等かの原因(?印)により,まず中枢における両眼視能に抑制がかかる。そうするとFusionが働かなくなるので,両眼の内直筋のTonusが低下する。これが引き金となつてMaster eyeのProprioceptionに異常Impulseが発生し,その結果Slave eyeは外斜する。異常Impulseは更にFusionを抑制し,ここに悪循環をくりかえす。またFusionの抑制はSlave eyeの弱視をおこす。廃用性外斜視は図の「一眼視力喪失」から出発して特発性のものと同じ経路を経て発生する。両者は基本的には同じである。
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