斜視の原因と治療
Ⅲ.外斜視の手術
三井 幸彦
1
1徳島大学
pp.722-723
発行日 1979年5月15日
Published Date 1979/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207885
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前回,外斜視を手術する場合,斜視眼(Slave eye)ではなくて注視眼(Master eye)を手術すれば,手術は単に物理的なものではなく,少なくとも一部分外斜視発生の原因をついた治療法になることを述べた。今回はこのことを実際の例でお見せする。図1を見ていただきたい。前回Magician's forcepsでお見せした患者である。図1−Aは手術開始時の所見である。左眼が注視眼で右眼が外斜している。Master eye (左眼)を手術している。手術は,この眼に持続的にMagician's forcepsを働かせるという狙いで,まず内直筋の短縮と次いで外直筋の後転を併用した。両直筋を同時に手術することが望まれる。その理由は手術の効果は物理的なものではなく,内外直筋から発信されるproprioceptive reflexの遮断が関係するように思われるからである。
図1−Bは手術中の所見である。左眼(Master eye)の内直筋を短縮する程度により,右眼(斜視眼)の眼位をどのようにでもControlできることを示した写真である。図1−CはわずかにOvercorrectionの状態で内直筋の短縮を終わつたことを示す。この状態で外直筋を同じ程度後転して手術を終わるのが良い。
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