Japanese
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連載 眼科図譜・266
奇異な所見を呈した胞状網膜剥離の1例
Bullous retinal detachment with unusual fundus features
牧野 道子
1
,
宇津木沢 ひかり
1
,
松野 三枝子
1
,
岩田 純介
1
,
長南 常男
1
Michiko Makino
1
,
Hikari Utsugisawa
1
,
Mieko Matsuno
1
,
Junnosuke Iwata
1
,
Tsuneo Chonan
1
1中央鉄道病院眼科
1Department of Ophthalmology, Central Hospital of Japanese National Railways
pp.6-7
発行日 1980年1月15日
Published Date 1980/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208011
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- Abstract 文献概要
胞状網膜剥離は眼底後極部に網膜色素上皮層を含む病変があり,同時に周辺部に網膜剥離を伴う疾患である。本症は1973年に三村ら4),塚原ら5),吉岡6),Gass7)四者が各独立した形でそれぞれの名称で発表されて以来注目されるようになつたものである。
症例は17歳の女性右眼の視力障害を主訴として受診した。既往歴として4年4カ月前,左眼に同様症状を来し入院加療している。この時右眼は無症状であつたが眼底後極部に2個の小さい網膜色素上皮剥離があつた。今回右眼発症時の視力は右0.3(1.0),左0.5(1.2),右眼中間透光体には炎症所見は認めなかつた。眼底は黄斑領域に約4乳頭径大の網膜剥離があり(図1),螢光像では中心窩と視神経乳頭の中間に陳旧性の網膜色素上皮剥離(左眼発症時に無症状の右眼に認められたもの)を認め,網膜剥離内に大小2個の旺盛な螢光漏出があつた。色素上皮剥離巣を鼻側の端とした螢光増強部も認められた。造影後漏出部の網膜は緑染し強い組織染を示した。
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