文庫の窓から
啓迪集(1)
中泉 行信
1
,
中泉 行史
1
,
斉藤 仁男
1
1研医会
pp.556-557
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207860
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わが国の医学は在来医学を除いては,インド,中国医学の影響を強く受けて次第次第に発展してきたが,奈良,平安時代から鎌倉時代頃までは,わが国が一方的に中国より学ぶものが多く,いわば模倣の時代であつて,医書などもほとんどが中国や朝鮮伝来のものが使用され,いわゆる模倣医学の時代といつても過言ではない。
室町時代以降江戸時代の中期にかけては,中国の金,元および明代の医学が入り,医書もその翻刻やそれを基にした著述が行なわれ,ことに明代の医学が田代三喜(1465-1537)らによつてとりいれられ,曲直瀬道三(1507-1595)らによつて広められてから,わが国の医学は宗教と医学が分離する方向に進み,医術の段階から科学的基礎知識の上にたつて考えられた,いわゆる実証医学へ漸く変つてきたということができる。
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