文庫の窓から
眼科学—保利眞直 纂著(その1)
中泉 行信
,
中泉 行史
,
斉藤 仁男
1
1研医会
pp.1884-1885
発行日 1989年11月15日
Published Date 1989/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211061
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明治初期の眼科はその新知識を欧米の眼科に頼らざるを得なかったが,明治16年(1983)以降,わが国からの欧州留学者が次第に帰国するに至り,ヨーロッパ眼科の直接輸入と彼ら自身による眼科書の翻訳も大いにすすめられた。本書はこうした時期にその先進眼科書を基に保利眞直(佐賀の人,陸軍々医,1860〜1929)氏により実用に適する教科書として著わされた。
本書の緒言によれば,此書の原稿は保利眞直氏が曽て私立済生学舎(明治9年4月〜明治36年8月開校)の生徒に講授したものといわれ,グレーフェ及びゼーミッシェ氏眼科叢書,ステルワーグ氏,シュワイゲル氏,チェーヘンデル氏,クライン氏,ミッヘル氏,マイエル氏及びシュミット・リンプレル氏等の諸眼科学講本,アルト氏眼科病理解剖,シュワルベ氏組織解剖学,ゴルドラーヘル氏眼科治療書,ミッヘルス氏眼療書,クニース氏眼科提綱,ヘルデンク氏眼科摘要,マウトネル氏眼科講演筆記,同氏屈折機論及び検眼鏡用法,コーン氏色盲論 ドンドルス氏屈折機論等の諸書を参考にして,その要を摘み,傍らグレーフェ氏眼科学宝函,クナップ及びシュワイゲル氏眼科学宝函,チェーヘンデル氏眼科学雑誌,ヒルシュベルグ氏中央眼科雑誌等を渉猟抜萃して,いわば西欧諸大家の著わした諸書の中より実用に適するものを生徒に授けるために著した眼科書であるといわれている。
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