第23回国際眼科学会(1978年5月14日−20日京都) 私が感銘をうけた講演
—メインテーマⅠ—眼免疫学—(5月14日午後第I会場),他
嶋田 孝吉
1
1自治医大
pp.1305-1322
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207734
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メインテーマIの眼免疫学に関する講演は,5月14日午後2時より大ホールにて行われた。まず,アメリカのSilversteinが,近年,長足の進歩を挙げた免疫学を概説し,これに伴い急速に発展して来た眼免疫学について,その成果と将来の展望を語つた。講演の後半には,教授が過去数年間に手懸けた三つの仕事について言及した。眼免疫学のbasicな分野は,教授の独壇場であり,その輝しい成果を,華やかな会場で講演する教授を目の当りにし,研究を共にしたことのある私は,感無量であつた。角膜移植における移植片の拒絶は,主に遅延型アレルギー反応により惹起されるが,教授は,移植片抗原により特異的に感作されたリンパ球による移植片の混濁,特に,移植片の内皮細胞の破壊されていく有様を,あざやかな病理標本で示した。マウスに対し病原性をもたないLCMウイルスを,マウスの眼内に注射すると起る重篤なブドウ膜炎は,やはりリンパ球の関与するアレルギー反応によるもので,炎症はステロイドの投与により治癒する。しかし,炎症の消腿したブドウ膜組織にはウイルスがたくさん繁殖しており,螢光抗体法で証明される。病原性の全くない微生物の感染によつても,ブドウ膜炎が発症するのである。最後に,眼内での抗体産生について触れ,その特異な抗体産生の仕組を示し,これから再発性ブドウ膜炎の発症機序が説明されるとした。いずれも眼免疫のTopicsであつた。
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