連載 眼科臨床レントゲン診断学・9
各論(6):視神経管のX線写真
深道 義尚
1
1昭和大
pp.1368-1369
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207743
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視神経管撮影法については,本シリーズの第1回に述べられている。戸塚氏はどの撮影法を使用しても,確実に視神経管を撮影できる方法はないとされているが,私は城所・戸塚の方法が最もよいと考えている。確実な方法がないから立体撮影を行うべきであるというよりは,細い変化を読みとるためには,立体撮影を行つて,立体的に観察することが大切であると思う。また,視神経管撮影による写真では,視神経管の形状をみるのみでなく,節骨洞から蝶形骨洞にかけての管周辺の副鼻腔の状態ならびに眼窩内側壁の変化をみることができるから,フイルム全体に管周辺の状態を撮影すべきである。立体撮影と同時に大切なことは,必ず両側の撮影を行う習慣をつけることである。視神経管の形状や走行には,先天的に個人差が多く,このため確実な撮影法がないとされているのが現状である。しかし,管壁の形には余り左右差のないことが多い。したがつて,妙な変形を示す場合には,健側にも同様な所見を認めることが多く,X線写真上ではあまり所見が得られぬことがある。図1に示したX線写真は,このような例の代表である。著しい変形を示しているが,健側にも同様の形が得られており,矢印で示した管腔のくびれと変形は,この症例に特有な解剖的変形に過ぎないようである。
図2および図3は,左眼の視力障害を主訴として来院した26歳女子の,両側の立体X線写真である。
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