印象記 第73回日本眼科学会(その1)
涙器 角膜 ブドウ膜—5月9日午後 第1会場,他
水川 孝
1
1大阪大学
pp.1020-1027
発行日 1969年8月15日
Published Date 1969/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204136
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神鳥教授独特のユーモアたつぷりの特別講演で多分にリラックスしたあとさらにしばらく休憩,定刻より第14席内田ら(東女大)の涙液リゾチーム簡易測定法がはじまつた。菌感受性テストにヒントを得て考案された生物学的検定法で,日常臨床でも簡便に行なえるのが特長,結膜嚢内で涙液をしませた経6mm円形ろ紙をMicrococcus lysodeikticusのブイヨン培養寒天平板上におき,24時間後に菌の発育阻止円の大きさを測り,あらかじめ検討しておいたコントロールと比較しリゾチーム量を知るもので,必ずしも絶対量とはいえないが,ろ紙の保存やB.sub—stilisを用いたときの値とも比較するなど基礎的な固めもぬかりなくやつてあつた。また涙液減少例では誤差が多いとの臨床応用の限界も明らかであつた。はつきりした理論と実用限界をまとまりよく報告された点では本学会講演として実に適切なものと好評なのも当然と思われた。
第16席吉田(阪市大)はウサギに通電刺激や副腎皮質ステロイドを投与し,その影響を角膜上皮細胞のH3—thymidineとりこみをスカラにストレスの生体作用として,みたもので,池田教授一門のおはこの研究。その結果は必ずしも演者のいうように差があると判断するのには反対だとの討論があつたり,刺激量変化による変動の成績をもみせてもらいたいとの発言もあつた。
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