印象記 第68回日本眼科学会総会印象記
2.第1日,第1会場,午後の部
塚原 勇
1
1京都大学
pp.783-785
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202981
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4月16日,第1会場では,午後1時より清水賞の授与が行われた。賞は,慶大桑原教授等の「小口氏病患者の剖見例に就て」(日眼67:1323)に対しておくられた。貴重な症例に対して電子顕微鏡を用いて見事な研究を行われた教授等の研究成果の受賞に心から拍手を送つた。
引続いて,植村理事長が座長で,招待特別講演が行われた。講演は西独ボン大学J-K—Muller教授の"UnsereErfahrungen bei der operativen Entfernung vonTumoren aus dem Ciliarkorper und der Iriswurzel"であり,氏の得意の講演の一つであると聞いている。壮麗な会場の演壇両側のスクリーンには,おのおの西独と日本の国旗が飾り付けられ,更に演台付近に西独国旗1本が立つている。そして,黒い服に身をつつみ,背高くしてあくまで姿勢の正しいMuller教授の姿を拝見していると,筆者は,ふと遠い高等学校の理乙のドイツ語や当時は今よりは身近にあつたドイツの事などが思い出され,昔別れた親しい人に再会したようななつかしみを覚えた。今にも"Deutschland Uber Alles"と「君が代」がなりひびき出しそうな,なつかしい壮重な雰囲気にあつた時,意外にも教授は英語で講演された。英語の方が日本人に分りやすいであろうとの心づかいであつたようだ。
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