連載 地域ターミナルケア—看とりを支える沼隈町の通所訓練教室・4
デイケアの午後
向井 恵子
1
1広島県沼隈町
pp.886-890
発行日 1991年11月10日
Published Date 1991/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900344
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心づくしの昼食
12時のチャイムが鳴っている。畳の部屋へ車椅子が急ぐ。痴呆症のおばあさんの両手をとって配膳の名札の前へ行くヘルパー,杖をついて自分の席に着く人,全員そろって食卓に集まっている。火曜日と水曜日は,メンバーとスタッフ総勢45〜55人になる。スタッフがメンバーの間に座る。館長の「いただきまーす!」の挨拶で合掌し,皆いっせいに箸をとる。栄養士,調理師,ボランティア,地域の健康づくり推進員の人たちの手づくりの心のこもった昼食である。
今日のメニューは,ごはん,とり肉と野菜の中華風煮,煮びたし,中華スープである。ごはんだけ少ない人,きざみ食の人,ごはんもおかずも少ない人,ごはんをおかゆにしてる人,おじやの人,それぞれその人に応じたつくり方で,調理されている。量,食器の工夫等もカンファレンスで指示されたことを生かしてくれる。メンバーの隣に座って食事をしている職員も,メンバーの食事についての要求や希望の声を聞きのがさない。
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