GROUP DISCUSSION
眼感染症
内田 幸男
2
,
北野 周作
1
1日大
2東京女子医大
pp.1163-1169
発行日 1978年7月15日
Published Date 1978/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207718
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1.周期性好中球減少症に伴つた眼瞼壊疽の1例
本邦で未だ7例の報告をみるにすぎない周期性好中球減少症に,眼瞼壊疽を伴つた症例を経験したので報告する。症例は生後6カ月の男児で,発熱,咽喉発赤,下痢をもつて発生した。発症後6日目に左眼瞼発赤を起こし,10日目には眼瞼皮膚全体の壊死へと進行した。この部より緑膿菌が検出された。22日目にはこの壊死は更に進行し,中央部は黒褐色を呈し,周辺部は皮下浸潤性の深い潰瘍を形成していた。壊疽部の鼻側は左鼻翼にも及び鼻腔を通じ,更に右眼瞼皮下の壊死部と通じていた。左眼球の前房は血性膿で充満されていた。右眼は結膜炎症状を呈していた。全身的には肛門部に同様の壊死所見が認められた。5週目で腹部に大網の壊死による膿瘍を認め切除した。また10週目で左眼壊死部が眼球を含め脱落した。この間周期性好中球減少症と判明し,免疫療法,抗生物質,ステロイド投与,輸血などで次第に全身状態が回復し,眼瞼および肛門の壊死部はほとんど修復された。
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