網膜芽細胞腫の超音波断層法による診断について

Diagnosis of retinoblastoma with B-scan ultrasonography

緒　言

　網膜芽細胞腫は早期に適切な治療を受ければ，生命のみならず視力までも失なわずにすむため，その診断を的確に行うことは眼科医にとつて重要である。しかし日本では最近，毎年20名前後^1）の小児がこの疾患により死亡しており，早期診断が十分に正しく行なわれているとは思えない。

　眼底検査が十分に行えない場合の補助診断法として超音波断層法が有用であることは，1973年に著者が発表した^2）。しかし超音波診断装置の性能の不十分な点があり，その超音波断層像は必ずしも満足できるものではなかつた。そこで著者は新しい高性能眼科用超音波診断装置を開発したので，この装置を使用してLeukokoriaの症例を診断した結果につき報告する。

　We evaluated the diagnostic value of ultra-sonography in 42 consecutive cases of leukokoria in infants using the high-quality ultrasonic apparatus developed by us (Aloka SSD-65). Ultra-sonography of 18 cases of retinoblastoma was characterized by the presence of solid mass of high reflectivity. Also, the intense attenuation of ultrasound by the tumor resulted in shadowingof the retrobulbar tissue in all but one case (94%).