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緒 言
未熟児綱膜症活動期の重要な変化は網膜血管病変であるが,従来本症の形態学的研究は組織細片標本がほとんどである。本症の網膜血管変化を重視したものとしては,Ashtonら1)が動物実験を行なつたindia ink注射による研究がある。しかしこの方法では通過性のある血管の有無と範囲が明らかとなるが,india ink注入時に血管腔へ圧が加わるために,実際には通過性のない血管にも色素剤が入る可能性がある。これに対してKuwabaraとCogan2)のtrypsin消化法による網膜血管標本では,通過性のある血管はもちろん,通過性のない血管も明らかとなるの取ならず,血管病変の程度すなわち細胞の状態も判明する。しかし,この方法を用いた本症人眼の研究はKalinaら3)の報告があるのみである。最近は螢光眼底撮影法の発達により,本症網膜血管の螢光色素の通過や透過性の有無という機能的な情報をうることができるようになつたが,螢光眼底撮影法では,造影されない領域がはたして閉塞血管を意味するのかまたは無血管帯を意味するのか判らないという欠点がある。
われわれは今回,未熟児1例,未熟児網膜症活動期I型2例のみならず,未熟児網膜症II型に光凝固を行なつた1例,合計4例の眼球を検索する機会を得たので,その組織切片標本とともに,trypsin消化法による網膜血管標本を作製した。
We studied three cases with retinopathy of prematurity by conventional histologic sectionsand trypsin digestion technique. Two cases belonged to the insidious type and the other to rush type treated by photocoagulation. An-other pair of eyes of prematurely born infant were also examined.
In the normal premature infant, the pattern of capillaries in the retinal periphery showed normally arranged capillary loops and no incr-ease in PAS staining reaction.
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