境界領域の再評価とその展開 特集
新生児異常をめぐって
未熟児網膜症の眼科的対応
馬嶋 昭生
1
Akio Majima
1
1名古屋市立大学医学部眼科学教室
pp.157-159
発行日 1987年3月10日
Published Date 1987/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207553
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すべての疾患と同様に,未熟児網膜症(retinopathyof prematurity, ROP)も,最も重要なのが予防であり,続いて発生後も自然治癒に導くこと,薬物治療,最後が手術的治療である。しかし,本症の発生は,未熟性を基盤とするものであり,その上に出生後の全身状態とその管理などが複雑にからみ合って発生・進行し,その間に生命を第一に考えながらの管理の調整や薬物療法が試みられ,さらに病勢の強さと一定の進行状態に至ったとき手術的療法の対象となる。このような経過を考えると,出生前あるいは出生時にすでに発病の要因があるのは先天異常に似るし,発生と進行が全身状態とその管理の影響を受けるというのは成人にみる糖尿病性網膜症などのように全身病に併発する眼疾患の一つといえる。したがって,出生までは産科医がその鍵を握り,出生後は新生児科医neonatologist,現在の日本では主に小児科医と産科医がこれに当たるので,眼科的対応をどの時点からと考えるかが非常に難しい。しかし,われわれ眼科医の関心はすでに出生前から始まっているということから,以下の項に従って述べることにする。
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