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緒言
われわれは,第2報1)に於て,557名の症例観察に基き,網膜細動脈の「硬化所見の発生及び進行に関与する主要因子は,血圧上昇の持続そのものか,又は持続性血圧上昇と密に関連する因子であつて,単なる年令的因子は,関与しているか否か疑わしく,若し関与しているとしても関係は稀薄であると考えなければ説明が困難である」と結論した。この結論の前段は既に広く認められた事実であつて,われわれの観察は単にれの妥当なることを本邦の症例について確認したに過ぎない。併しながら後段に,現今の多くの眼科学及び病理学の成書の記載と稍異つた観察成績であつて,機会を求めて再検討を試みることを附記した。爾来われわれは,正常血圧者及び低血圧者の眼底細動脈交叉現象を特に慎重に摘発するように努めて,新たに237例を加えた。
故に今回は,この症例群に就て,交又現象を中心として判定した網膜細動脈硬化(所見)と血圧及び年令の関係を再検討した成績を報告したいと思う。
This study represents an ophthalmoscopic examination of the changes at arterio-venous cro-ssing in the fundus of 583 cases (hypertension : 94, mild hypertension : 197 normal : 237 hypo-tension : 55) undertaken to explore a possible relationship between arteriolar sclerotic change and systemic blood pressure at various ages (ranging from 20 to 70), and also to confirm an age factor pertaining to the genesis and progress of retinal arterio-venous crossing-phe-nomenon.
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